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大人になってからアダルトチルドレンを知って、わかったことや気付いたことと、これからのこと。

15歳の世界と大人の立ち位置と適度な距離とデリカシー(3)

(つづき)

三者面談でのやり取りをもう一つ思い出したので書く。

A5サイズの高校受験データを集めた雑誌を広げて、担任は説明していた。「成績は大丈夫です笑」の後に、ランク・成績と合格点をクロスさせた表を見せるためだ。

それは去年度倍率何倍だとか、受験者数と合格者数などのデータだった。

しかし担任が持っていたその雑誌は、去年度の物ではなく、3年前のものだった。それについて一切悪びれる風もなく、「毎年こんな感じですから笑」と言った。それはそうなのだろうと思うけど、こういう所で私はぴりついた。自分でも意外だったけど、そういう些細な事でイライラする精神状態だった。

私は持参した最新号(別の出版社)のデータを見せて、すべて裏付けをした。

帰宅後、子供に、「どうしてあんなに強気で話し合いができるのか」と訊ねられ、子供の目には、私が強気に話しているように映っていたんだと驚いた。

先生の言っている事が間違っていたり、○○(子の名前)の希望が捻じ曲げられたりしないよう、はっきりと端的に言わないと、わからない先生だと思ったから、というような答えをしたと思う。そしてその時の体験から、担任は(あくまでもこの時の)生徒や親に対し、絶対的な権力を持っている、と勘違いしている人物だと思うようになった。

生徒を否定するときの恍惚とした顔を忘れない。しかしそれは否定していることを、子供ではわからないような言い回しでしている。とても卑怯なやり方だった。心配を装い、ほぼ全否定するというものだ。

私は、自分自身の性格が歪んでいるのを自覚いるので、不愉快に感じた他人の言動の裏側を考える。行き過ぎた勝手な自己解釈を諌めたりするために。そういう日頃の思考のせいか、この三者面談では疲れ切ってしまった。

大人の私でもこうなら、子供にとってはいかほどのものだろう。私は想像を絶した。

教師の悪口を親が言ってはいけない、という言葉を聞いたことがある。その意味するところは納得できた。けれどあと数か月の付き合いの他人に、振り回される必要はないのだ。私はこの日を境に、「先生のいう事は何も聞かなくてよい、反抗しろという意味ではない、聞き流せということ、言われたことは覚えてる範囲で私に報告すること」と子供に言った。

 以降、その担任はことあるごとに子供に声をかけ、気が変わらないかとか、合否で人生がとか、周り(クラスメイト)にあまり言うなよとクラスメイトの前で言ったようだ。子供が言うには、三者面談での会話がなかったように、繰り返し同じことを声掛けしてくるらしかった。私は子供の話を聞き、その都度、子供の感じた違和感や不快感の正体を、担任のデリカシーの無さであると説明した。そして子供が感じる違和感や不快感は正常であると説明した。一緒になって担任の悪口を言い、笑い話にした。そしてあと数か月、やり過ごすよう励ました。それでも続く、日々の声掛けにストレスがピークになり、帰宅して寝るまでずっと泣き続けたりした日もあった。

「あいつが、何を、わかってるんだ、」と私を睨みつけた日もあった。それは私に対してのものではなく、学校では我慢した感情だ。この時、すでに受験うつになっていたと思う。比較的ポジティブで自己中心的な性格の子供が、こうなる、という現実を目の当たりにし、私は受験が終わるまで、彼のすべてを褒めて日々を過ごした。

 

高校入学後、受験シーズンが再来の時「あの時は視野が狭くなっていて、死ぬしかないかもしれないと思った」と言った。

今となっては、担任が言っていたことが意味不明で気にしなくて良いとか、あの指導はおかしいんじゃないかとか、色々わかる。でもあの時の自分は、それがわからなかった。担任には権力があり、絶対的存在だと思っていた、と。

そしてそうじゃないんだよと言った私の言葉を信じることにしたが、自分の親がモンスターで、わざと間違ったことを言ってでも、自分を励まそうとしているだけなんじゃないかと思っていた、と。

私はそれを聞いた時、受験日に送り出した朝、帰ってくるまでの時間、彼が笑って帰ってくることだけを考えていたことを思い出した。

 

今回報道されたニュースを子供が見て、「気持ちわかる」と言った。前提が違うのだそうだ。スムーズに進路指導が進むクラスメイトがいる中、教師に問題視されてる自分という状況にすでに、常に、パニック状態なんだという。

それにもし中1の時のことを言われても、全然覚えていないし、「データに残ってるんだよね」なんて言われた日には「学校のデータに残ってるものは絶対」だと思うに決まってる、でもそんな記憶ない、それでさらにパニックになるはずだと。

(つづく)

my backnumber to lock the door on the inside ジュニア辞書で精いっぱい作った後ろと前の文脈です。タイトルはこんなニュアンスで表したかったです。