下り道を駆け上がる
随分と水を吸い込んだコンクリートは
今夜の気温の反射で眩しい
自分の息遣いがうるさいくらい響いていて
すれ違う人がスローモーション、そして滲んで見えた
自分の動悸が思考を邪魔して傘も風に奪われそうで
空回りそうになった自分の足に気づいて、一度止まって呼吸した
吸って、長く吐いて、吸って、長く吐いて
確実に、また走った
もう少しで私は発狂してしまう
私が私には届かないところへ行ってしまう
そんなことになっては会えなくなってしまう
冷静さを必要として、代わりに飲み込んだ感情は、ずっと戻ってこないかもしれない
そんなことはどうでもいい
他人のように自分を振る舞った夜に、信じたこと
まだ生きて行くということ