私を支えたのは知らない人が歌う言葉、頁を捲るたびに膨らんだ描写のための言葉
音楽と小説と映像作品に支えられ、すくわれた日々がある。たくさんある。
何度も聴く。何度も読む。
何度聴いても初めて出会ったみたいに涙が出る。
何度読み返しても初めて読むみたいに最後にため息が出る。
音が終わったとき、満たされて、直後、喪失感が生まれる。だから何度も何度も繰り返す。私の中に染み付くようにしてるみたいだ。満ちるたびに失うなんて少し笑える。
音楽を聴けること、本を読めること、私は幸せだ。
好きだと思う歌に出会えるのも、本に出会えるのも、映像に出会えるのも、奇跡だ。
ー
あの人がたくさん歩きたくなるような靴をつくろう
その言葉を聞いて私は泣いた。なんてスマートで素敵な思いだろうと思った。
私の現実の世界では、そういう人に出会ったことがない。
私が現実の世界で人と出会わないような生活をしているからだ。
だから出会うような生活にしようとは決して思わない。
私はその物語を大切に思っているだけで、脳に、体に、浸透していくように繰り返しみるんだ。そうしていると、私の中で疎かになっていた自尊心が還ってくる。
ー
もしあなたの方に闇が訪れて視界が狭くなってしまい言葉も届かなくなったら
あなたが僕にしてくれたように寄り添うことはできるだろうか
その言葉を聞いて私は安心できた。そのように考える人がいると知ったからだ。
私の現実の世界では、そのような人に出会ったことがない。
私の周りには連れ出して場所を変えようという人ばかりだった。
視界が狭くなっていた私には、どの場所に移っても、見える景色に変化はなかった。
無味無臭の置物みたいな私だった。
置物の私に寄り添ってくれるような変な人がいたら、髪を急に伸ばす事が出来たかもしれない。(ジョーク)
思いを言葉にしてくれる人、それを奏でてくれる人、それを歌ってくれる人、
生活を文章にしてくれる人、それを物語にしてくれる人、それを映像にしてくれる人、それを全部、私の手元に届くように、形にしてくれる人、たくさんの人、たくさんの人がいてくれて私は自尊心を思い出し、ひとになれる。
散り散りになっていた感情が、磁石みたいに私の元に帰ってきて、泣いたり笑ったりできるようになる。苦しい悲しい、嬉しいって思えるようになる。
生きてるって思う。ありがとう。
YOU:雨のパレード